winonmac

MacでWindowsアプリを使うには、BootCamp ユーティリティでMacにWindowsをインストールするか、VMware Fusion や Parallels Desktop を利用してWindowsを使う方法が一般的です。

どちらもWindowsを別途購入しなければなりませんし、画面表示や操作もほぼWindowsのため「なんのためにMac使ってるんだろう…なんだかなぁ」という気分に。

そんなあなたに試してほしいのが「Wine」というソリューション。Windowsアプリの内部処理を変換してOS Xのアプリとして実行するため、以下の特徴があります。

  • Windows が不要。ただし、アプリはまともに動かない場合がほとんど
  • Mac上のアプリとして動作するため、コピペなどの作業が便利(ただしキー割り当てはWindows風)
  • うまく動けばBootCampで動かすのと同等の速度で動く


Wineそのものはオープンソースで配布されており、利用するには開発ツールでコンパイルしたり、いろんな設定が必要なのですが、それらを簡単に実行できるようにしたアプリがいくつかあるので、ここでは「Wineskin Winery」というアプリを紹介。
Wineskin Winery でWinアプリを実行できるようにするまでの手順(動作確認環境はOS X 10.10.3)

Wineを使うには、Wine本体とWindowsアプリが必要です。「Wineskin Winery」にはWine本体が含まれているので、Windowsアプリをすでに所有しているのであれば、ダウンロードするものは「Wineskin Winery」だけ。ただしアプリを正常に動かすにはちょっと面倒な作業が必要になります。

用意するもの:
・Windowsアプリ(製品付属のDVD、ダウンロード版なら解凍済みのもの)
・Wineskin Winery (執筆時点の最新版は 1.7です)http://sourceforge.net/projects/wineskin/から入手

*** ここからステップ0〜6まであせらずじっくり作業してください ***

ステップ0:Windows アプリを用意します
例として、一太郎2015 の体験版をインストールしてみましょう。

ダウンロードしたtaro2015try.exeは圧縮されたファイルですが、説明では解凍した状態で利用します。ちなみにMac上でこのファイルを解凍したい場合、The Unarchver が便利です。(古いバージョンではexeの解凍ができないので注意)
tarotry_extract

ステップ1:Wineskin Winery のダウンロードとWineエンジンのダウンロード
「Wineskin Winery」 を http://sourceforge.net/projects/wineskin/ からダウンロードします。「Download」ボタンを押して、5秒ほど待てばダウンロードがはじまります。ダウンロードした「Wineskin Winery」は アプリケーション フォルダに移動しておきましょう。起動すると以下のようなダイアログが開きます。
wineskin_first

Wineskin Winery を起動 したら、「Wineエンジン」と「Wineskin」という2つのモジュールをダウンロードします。まず[ + ] ボタンをクリックして、Add Engine ダイアログを出し、WS9Wine1.7.XX (XX は数値)が選択されていることを確認してから、「Download and Install」をクリックしてダウンロード。
次に「Wrapper Version」と書かれた部分にある「Update」ボタンをクリックして、Wineskin本体をダウンロードします。
winskininst


ステップ2:ラッパーアプリ(Blank Wrapper)の作成と起動
Wineskin では、まずアプリ本体となる“ひながた”を作成し、その中にWindowsアプリをインストールするスタイルでアプリを動作させています。まずは“ひながた”となる「Blank Wrapper」を作成します。

  1. 「Create New Blank Wrapper」をクリック
  2. Creating a wrapper ダイアログが開いたら、アプリの名前を入力します。日本語のアプリなら日本語で入力してもOKです。ここでは「一太郎」と設定しました。
  3. 「OK」ボタンを押して、しばらく待つと「Wrapper Creation Finished」というダイアログが表示されます。「View wrapper in Finder」をクリックすると、2. で設定した名前のついたアプリのある場所に移動します。このアプリが「Blank Wrapper」です。

createnewwrapper


ステップ3:Blank Wrapper にモジュールを追加
一太郎を動作させるには、Blank Wrapper にモジュールを追加しなければなりません。
ステップ2 で作成したアプリをダブルクリックします。
(※ エラー表示されて起動できなかった場合はもう一度実行してみてください)

若干待たされたあと、「Wineskin」というアプリが起動し、ダイアログが表示されますので
  1. 「Advanced」をクリック
  2. 「Tools」タブに切り替えて、中央上にある「Winetricks」ボタンをクリック
  3. 「dlls」の左の三角アイコンをクリックしてリストを展開し、「msxml3」を選択し、中央右にある
  4. 「Run」をクリックし、でてきたダイアログでも「Run」をクリック

setupwinskin01
setupwineskin02

… すると、ブラウザが開いてDownload.comの「Microsoft XML Perser..」が表示されるので「Download Now」をクリックして「msxml3.msi」をダウンロードします。Finderに切り換えると「msxml3」というフォルダが開いているので、そこにダウンロードしたファイルをコピーしたら、もう一度 Winetricks のウインドウに戻って「msxml3」を選択し「Run」をクリックします。
downloadandretry

続き)うまくいくと「Microsoft XLM Perser Setup」の画面が表示されるので「Next >」をクリックしてインストールを進めます。

以上で、必要なモジュールが導入されました。

ステップ4:対応OSを変更する
一太郎2015はWindowsXPをサポート外にしているので、Wrapper のOS設定を変更します。
  1. 「Tools」画面「左上にある「Config Utility (winecfg)」をクリック
  2. 少し待つと Wineskin というタイトルのアプリ が起動し、「Wine configuration」というダイアログが表示されるので、「Applications」タブの下にある「Windows Version」のポップアップメニューを「Windows Vista」に変更し、OK ボタンをクリックします。※OKクリック後、Tools 画面のボタン操作が可能になるまでほかの操作をしないでください

winskinconfig


ステップ5:Windowsアプリ(ここでは一太郎2015体験版)のインストール
ここからようやくWindowsアプリのセットアップが可能になります。
  1. 「Wineskin Advaned」左下にある「Install Software」をクリックします
  2. 「Choose Setup Executable」というボタンをクリックして、ステップ0で用意したWindowsアプリ(のインストーラー)を指定し、「Choose」をクリックします。一太郎2015の体験版ならば、解凍してできた taro2015try/SETUP/SETUP.EXEを選択するとセットアップが始まります

installsoftware

あとは画面に従ってセットアップを完了させてください。(見た目プログレスバーが進まないのですが、しばらく待つとセットアップは完了します)
セットアップが正常に完了すると、次に「Choose Executable」という画面になります。これは作成したアプリをダブルクリックして起動したときに、どのEXEプログラムを実行するかを選択する画面です。ここでは「taro25.exe」を選びましょう
installendandrun

「Test Run」を実行してみます。…… エラーが発生してしまうようです……

ステップ6:モジュールの追加による不具合の修正
tarorunerror

一太郎の体験版は起動はするものの、編集画面が出てこないようです。いったん一太郎を終了し、ステップ4で「msxml3」を導入したのと同じ方法でいくつかモジュールを追加してみましょう

  1. 作成したアプリ「一太郎」上で control + クリック して「パッケージの内容を表示」を選択
  2. 中にある「Wineskin」をダブルクリックすると、ステップ3で操作したダイアログがでてきます
  3. 「Advanced」をクリックして「Tools」に切り替え、「Winetricks」をクリック

wineskinredriver

「gdiplus」と「mfc40」を導入しましょう。上部にある検索フィールドに「gdi」と入力すると絞り込まれてでてきますのでクリックしてチェック。「mfc」で検索して「mfc40」をクリックしたら、「Run」をクリック。今回は特別な操作は不要でインストールが完了します。
mfc40install

「Winetricks」ダイアログを閉じて「Test Run」を実行。表示不正はあるものの、それなりに動くようになりました。
tarorun

ただ、いろいろ操作しているとまだ動きがおかしいようです。操作不能になったら「Tools」画面に戻って「Kill Wineskin Processes」をクリックして一太郎を強制終了しましょう。

日本語の文字化けや、日本語入力できない件はまた別の記事にします。

おまけ)Wine共通の注意事項
Wineを使う上で留意しなければならないことがありますので、最後にまとめました。

  • OS X のプロキシ設定を自動的に参照しないため、企業内プロキシ環境ではうまく動作しない(レジストリ変更などで動くらしいが成功せず…)
  • Windowsアプリが動くということは、ウイルスも動きます。安易に身元不明のアプリをインストールしないようにしましょう
  • アプリがひとかたまりになっているので、USBメモリなどにコピーしてそのまま他の人に使ってもらうなどの運用も可能ですが、結局はWindowsがまるごと1つのアプリになっているようなものなので、個人情報などはそのまま残ります。広く公開する場合などは個人が特定できるような情報を削除し、ウイルスチェックするようにしましょう
  • ドライバの追加のタイミングで動きが変わるような場合があります。今回の例では、一太郎2015を動かすのに必要だったモジュールを最初にすべて導入してしまうと、セットアップでエラーになります


以上



リンク:
Wineskin で作成したアプリで日本語入力できるようにする
Wineskin の文字化けを修復する

→ Wineのプロジェクトページ「WineHQ
Wineskin Winery ホームページ (http://wineskin.urgesoftware.com/)


Parallels Desktop 10 for Mac